40’s Mind Therapy ~陶芸で新しい自分に気づく~

女性の40代は、決して楽な時期ではありません。
悩んだり、心が沈んだりするときには、日常を忘れさせてくれる場所で過ごすひとときや、心を開放できる趣味が、支えになってくれることも。
そんな時間や場所をどんなふうに見つけたらいいのか、一緒に探していきたいと思います。
今回の特集は、「陶芸で新しい自分に気付く」がテーマです。

「第3回 辛かった思い出を、土が全部吸いとってくれる」

「以前、本当に落ち込んでいるときは、
音楽も聞けなかったし、映画も見られなかった」という安田さん(仮名)。
友達と一緒に参加した体験教室で志織さんと出会い、
それから定期的に習いに来るようになりました。

「土を触っていると、“無”になれるというんでしょうか。
職場でも、家庭でも、イヤなこといっぱいあるけれど、
“あのときあんなことあった、こんなことあった”と
思い出しながらつくっていると、
イヤなことを全部土が吸い取ってくれるようで……。
私にとっては、思い出すことも次に進むステップに
なっていると思います」

「志織先生の明るい人柄も魅力です。
いくら陶芸が好きでも、先生と合わないと
“また行こう”とは思わない。
つくりながら、先生にグチをきいてもらっているうちに
心が軽くなって……。先生には
すべて受け入れてもらえる気がします」

「土を触りながらだと、面と向かってではないから
気負わずに話をしやすいのかもしれません。
作品に集中しているときは話さなくてもいいし、
話したいときは、話してもいいし」(志織さん)

自分がつくった器が家の食器棚に入っているのを
眺めると、気持ちがふわっと温かくなると、安田さん。
「手びねりだから、自分の指のあとも残っているので
お皿を洗うときなんかに触れていると、
つくっていたときのことを思い出せるんです。
“ああ、これはあのとき、
気持ちが落ち着かないときにつくったな“とか」

家族も口では「下手だな」と言いながら、
安田さんがつくった器を、よく使ってくれているそうです。
器づくりを通して、新たな
家族とのつながりが生まれた気がしています。

(第4回に続く)

→ 特集「40’s Mind Therapy 第1回 陶芸をやってみたことありますか?」

→ 特集「40’s Mind Therapy 第2回 仕事を辞めて不安定になっていた心が、陶芸で落ち着いてきた」

→ 特集「40’s Mind Therapy 第4回 陶芸で、懐かしく新しい自分に出会える」