40’s Mind Therapy ~陶芸で新しい自分に気づく~

女性の40代は、決して楽な時期ではありません。
悩んだり、心が沈んだりするときには、日常を忘れさせてくれる場所で過ごすひとときや、心を開放できる趣味が、支えになってくれることも。
そんな時間や場所をどんなふうに見つけたらいいのか、一緒に探していきたいと思います。
今回の特集は、「陶芸で新しい自分に気付く」がテーマです。

「第1回 陶芸をやってみたことありますか?」

「芸術療法」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
心や体に不調を感じている方々が、創作活動を行い、
その過程の中で何かを感じることによって
自分を元気にする手掛かりをつかめるように、見守り手伝うこと。
音楽を楽しむ、絵を描く、詩をつくる、ダンス、など
芸術の様々な分野の「創る」活動が、
芸術療法として色々な場所で試みられています。

その中のひとつが、陶芸です。
土に触れることや、土を使って何かを作ること、
さらに完成した作品を楽しむことが、
人にとっておだやかな心地いい刺激となって
心や体を癒す効果を持つといわれています。

佐賀県三養基郡で、作品づくりのかたわら、
この土を用いた「陶芸療法」に取り組んでいる
陶芸作家・中村志織さんを訪ねました。

志織さんは、佐賀県鳥栖市生まれ。
1994年に工房を開き、4年前にここ三養基郡上峰町に移転。
文化サークルや保育園・学校などで、
「手びねり陶芸」講師としても、土に触れる楽しさを広めています。

玄関前の庭は、鎌倉のお寺を思わせるような、風情のある雰囲気です。

志織さんは、手びねり陶芸教室の講師として教えていくなかで、
大人や子どもたちがさわやかに元気になっていく場面に
度々出会い、陶芸のもつ力にあらためて気付いたそうです。
それがきっかけで、5年ほど前から「陶芸療法」の勉強を始めました。

「土に触れると、なんだか懐かしい感じがするという方もいらっしゃいます。
なにかを作り始めると、土が語りかけてくるようでいて、それは実は
自分自身のなかにある気持ちだったりします。
言葉を交わさなくてもいい、気遣いの必要のない静かな時間の中で、
何かを思い出しながら、いつのまにか今の心が整理されてくる……。
作る過程で『感じる』ことが大切なので、時によっては
必ずしも作品を完成させなくてもいいのかなと、私は思っています」

あたたかみのある手びねりの器。心を静める青を使った作品が多いのも特徴です。

(第2回に続く)

→ 特集「40’s Mind Therapy 第2回 仕事を辞めて不安定になっていた心が、陶芸で落ち着いてきた」

→ 特集「40’s Mind Therapy 第3回 辛かった思い出を、土が全部吸い取ってくれる」

→ 特集「40’s Mind Therapy 第4回 陶芸で、懐かしく新しい自分に出会える」